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アロマセラピー(足浴)で陣痛が起きる!?足浴前後の唾液中オキシトシン・コルチゾールの変化
薬を使用せずに陣痛が来るにはどうしたら良いですか?
妊婦さんから質問された経験のある助産師は、少なくないかもしれません。
陣痛誘発を意図したアロマセラピーの報告はいくつかありますが、残念ながら、しっかりとした方法論で効果を検討した研究はわずかです。
今回は、子宮収縮を引き起こすオキシトシンと、ストレスに応答するコルチゾールという、2つのホルモンに注目した研究をご紹介します。
Changes in Salivary Oxytocin Level of Term Pregnant Women after Aromatherapy Footbath for Spontaneous Labor Onset: A Non-Randomized Experimental Study.
対象は、妊娠38~40週の経腟分娩予定のローリスク女性でした。
介入方法は、下記のいずれかの方法で20分間足浴を行いました。
(1)クラリセージ精油 0.2 ml+ラベンダー精油 0.1 ml を湯に混和
(2)ジャスミン精油 0.25 ml を湯に混和
(3)精油なし
評価指標は、足浴前後の唾液中のオキシトシンとコルチゾールの変化、主観的な子宮収縮頻度でした。
(1)クラリセージ・ラベンダー精油群、(2)ジャスミン精油群で、オキシトシンは増加しました(群内変化あり)。
しかし、(3)精油なし群との有意差はありませんでした(群間変化なし)。
子宮収縮頻度の増加は認めませんでした。
一方で、コルチゾールはいずれの群でも有意に減少し、精油の有無にかかわらず足浴後のストレス減少が示されました。
この結果の原因として、以下の理由が考えられます。
- データのばらつきが大きかったこと
- オキシトシン増加が子宮収縮を引き起こすには小さかった可能性
- 主観的な評価だけでは、子宮収縮の変化を正確に評価できなかった可能性
再現性の高い手法で、クラリセージ・ラベンダー精油使用後のオキシトシン増加という群内変化を認めたことで、
アロマセラピーによる陣痛誘発の可能性が示された研究です。
今後は、使用方法や評価方法の検討が課題と言えそうです。
Tadokoro Y, Takahata K, Shuo T, Shinohara K, Horiuchi S. Changes in Salivary Oxytocin Level of Term Pregnant Women after Aromatherapy Footbath for Spontaneous Labor Onset: A Non-Randomized Experimental Study. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2023; 20(13):6262. https://doi.org/10.3390/ijerph20136262